仮設園舎(保育園、幼稚園)の整備について

2020.03.18

保育園や幼稚園の利用者である子供たちの安全を守る園舎。各種基準を満たさない場合や、老朽化が進んでいる場合には「仮設園舎」を用意した上で、整備が必要となることがあります。今回は仮設園舎が必要な場面や、建てる場所・方法までをご紹介します。

仮設園舎が必要な場合

保育園・幼稚園の仮設園舎が必要となるのは、既存の園舎が使えない状態となる場合においてです。具体的には「現敷地における全面建て替え」「耐震工事」「耐火・防火工事」「安全面を考慮した改修工事」のような事例が考えられます。

■保育園・幼稚園の耐震化の状況

2013年11月25日に改正耐震改修促進法が施行されました。

これは、1981年6月1日以前に建築された「階数2以上かつ1,500㎡以上」の大規模な保育所を対象に、2015年12月末までに耐震診断結果を報告することを義務づけたものです。耐震診断結果については所管行政庁が公表しています。

2015年時点で耐震基準を満たしている保育所・幼稚園はおよそ80%でした。つまり「およそ20%の保育所・幼稚園は耐震基準を満たしていない」ということです。1981年6月1日以前の建築に適用されている耐震基準(いわゆる「旧耐震基準」)では「震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないこと」を構造基準とする新耐震基準の安全は確保できません。1981年以前の建築では築40年が目前となっており、老朽化も顕著にあらわれてきています。子供たちの安全のために、建て替えも検討すべき状態といえるでしょう。

■保育園・幼稚園の耐火・防火の状況

以下に示す耐火・防火の基準についても全ての保育園・幼稚園が満たしているわけではないため、その工事が検討されるケースも考えられます。

【保育園の耐火基準】

2階以上に保育室または遊戯室(園児が使う部分)を設ける施設は、耐火建築物又は準耐火建築物であること。

【幼稚園の耐火基準】

幼稚園の設置基準は「学校教育法施行規則」に基づく。園舎は原則2階建て以下とし、幼稚園用途に供する床面積の合計が2,000㎡以上~延べ面積が3,000㎡以下ならば基本的に準耐火建築物、3,000㎡超ならば耐火建築物であること。

内閣府の資料『幼稚園・保育所の現行の基準適合状況(設備関係)』によれば、2階に保育室等を設置する幼稚園施設はおよそ59%あり、耐火に係る保育所基準を満たす施設はおよそ94%。また2階に保育室等を設置する保育所施設はおよそ52%あり、そのうち耐火に係る幼稚園基準を満たす施設はおよそ90%でした。

■保育園・幼稚園の改修について

園舎に現在の建築基準(耐震・耐火/準耐火)が適用されていない場合はもちろんのこと、以下のような安全上の工夫が行き届いていない場合には改修を検討すべきといえるでしょう。

・柱などの角を丸くする

・要所ごとにクッションを使用する

・扉に指をはさまないよう一部をゴムで仕上げる

・死角がなく、子どもの様子が把握しやすい空間作りを目指す

・壁や床には安全・安心な材質を使用する

・バリアフリー対応の部屋作りを目指す




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仮設園舎を建てる場所

仮設園舎を建てる場所の候補としては「現敷地の中」「現敷地の外」の2つがあります。

「現敷地の中」は、現在保育園や幼稚園がある敷地の空スペースを指します。現敷地に充分な広さがあり、なおかつ近隣に手頃な土地がない場合に検討することができます。新たに土地を借りることに比べて建築コストは抑えられる場合もありますが建築確認申請は必要です。

「現敷地の外」は、今の園舎の近くに土地を確保する方法です。 仮設園舎を建てるための敷地を購入もしくは賃貸します。限られた敷地で運営していることも多い都市部の保育園・幼稚園の場合には、現敷地の外に代替地を見つける方が現実的かもしれません。

仮設園舎を建てる方法

仮設園舎はあくまでも「仮設」ではありますが、建築基準法に基づいて、安全に配慮して建築する必要があります。最後に仮設園舎を建てる方法についてチェックしましょう。

■仮設園舎でも万全の安全対策が不可欠

仮設建築物の許可基準は「建築基準法第85条第5項」に基づいて、各市区町村が規定する許可基準が適用されます。建築基準法第85条第5項では、特定行政庁が施工上必要と認める期間として「1年以内」と定められ、仮設建築物の建築が許可されています。なお、建築基準法第85条第5項では「防火・避難、建築設備」などの一部の単体規定と「接道、用途、形態」などの集団規定は適用除外されていますが、以下の建築基準については、その適用が求められています。

・構造耐力

・採光

・換気 等

■信頼できるプレハブメーカーへの依頼が望ましい

仮設園舎は、上記のような基準に基づいて安全性と品質の高いものを建築する必要があります。なお、2015年度より新たに「保育所等整備交付金」「認定こども園施設整備交付金(幼稚園耐震化整備)」が創設され、交付金などによる耐震化・老朽改築補助も受けられる可能性があります。
確認申請をはじめとする各種手続きや、保育園・幼稚園の建て替えにおける補助金の相談などにも対応可能なプレハブメーカーなら、煩雑な手続きも滞りなく進めることができます。加えて、仮設園舎の建築にはノウハウや専門知識も必要です。このような面からも、仮設建築物を多く手がけた実績のある「信頼できるプレハブメーカー」への依頼が望ましいです。また「要望に沿った仮設園舎を建築してもらい、必要期間レンタルする」といった方法もあります。

まとめ

記憶に新しい2011年の東日本大震災や、2016年の熊本地震。 現在、南海トラフ地震への警戒も高まっており「基準に見合った保育所、幼稚園の整備」が急務といえるでしょう。園舎の改修や建て替え時に必要となる「仮設園舎」の建築には、子供たちの安全を守るためにも、実績と信頼のある弊社へご相談ください。




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