介護医療院のポイント

2019.01.31

介護療養病床のこれまでとこれから

介護療養病床、ならびに看護配置25対1以上の医療療養病床などの慢性期病院は、当初2011年度末での廃止を目指して転換の取り組みが行われてきました。
しかし、うまく転換が進まなかったため期限が2017年度末まで延期されていました。2016年度の病床機能報告では、介護療養病床は約59,000床、25対1の医療療養病床は約72,000床存在すると報告されています。今回の介護報酬改定においては、未だ適切な対応が取られていないこれらの病床のため転換期限は2023年度末まで延長されることとなり、更に転換先として「介護医療院」の創設が決定されました。

介護医療院とは、介護療養病床の医療機能を持ちながら、加えて生活施設としての機能も兼ね備えた施設です。
つまり、介護医療院は地域包括ケアシステムの「医療」「介護」「生活支援」の機能に加え、「住まい」の機能も備えた施設であり、今後の介護ニーズに即して長期療養を可能にした新たな施設類型と言えるでしょう。

転換予定先と時期

介護療養病床イメージ

・介護療養病床の転換先

独立行政法人福祉医療機構が2017年10月に発表した「療養病床の今後の方向」に関するアンケート調査結果によると、介護療養病床の転換先としては、介護医療院・介護老健施設への転換を予定している病院が34.6%と最も多くなっています。
更に医療と介護の双方の拡充を予定している病院は15.4%に上り、これら2つを合わせると実に50%の病院が転換先として介護医療院を視野に入れていることがわかります。また、反対に医療機能のみの強化を予定している病院は19.2%となっています。転換予定時期についての回答は2017年度・2018年度が約6割を占めており、過半数の病院が早期の転換を目指しているようです。

・25対1以上の医療療養病床の転換先

その一方で、25対1以上の医療療養病床は対照的なアンケート結果となっています。介護医療院・介護老健施設への転換を予定している病院はわずか4.5%に留まり、その代わりに一般病床・地域包括ケア病床・回復期リハビリテーション病床など医療機能の強化を予定する病院が50%に上りました。医療強化・介護拡充の双方を検討する病院は約16%です。およそ半数の病院が、介護ではなく医療の方向へ舵を取っていることがわかります。

転換時期については介護療養病床の転換と同じく、2017年度・2018年度中での転換を予定する病院が65.9%に登っており、なるべく早期に身の振り方を決したいという意向が伺えます。

介護医療院の開設状況について

2018年9月30日時点で、介護医療院(Ⅰ型)は30施設、介護医療院(Ⅱ型)は26施設、Ⅰ型及びⅡ型混合の施設は2施設、合計で63施設となっています。
転換元の施設は、介護療養病床(病院)32施設、介護療養病床(診療所)1施設、介護療養型老人保健施設20施設、医療療養病床17施設、有床診療2施設となっています。(複数施設が統合し転換する場合等があり、開設施設数とは必ずしも合計数が一致しません)

介護医療院の基準について

介護医療院には、Ⅰ型、Ⅱ型の2つの分類があります。Ⅰ型は重篤な身体疾患を患う方や、身体合併症を持つ認知了高齢者等を主な対象とし、現行の介護療養病床に相当する基準となります。Ⅱ型はⅠ型に比べやや安定した容体の方を対象とし、老健施設相当以上の施設基準となります。

面積基準は、Ⅰ型、Ⅱ型のどちらも老健施設相当の8.0㎡/床です。現行の基準は6.4㎡/床となっているため、転換に際しては大規模改修や建替えが必要となるでしょう

居住スペースと医療機関を併設した医療外付け型と呼ばれるタイプの施設も、転換先の選択肢のひとつとなっています。医療外付け型への転換では、現行の病床を居住スペースへと転換し、併設する病や診療所に医療機能を集約することができます。居住スペースについては現行の特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホーム相当を想定しており、個室で13.0㎡/室以上が必要とされています。

介護療養病床の転換の動きにおいては、人員増や施設改修など、さまざまな対応が必要とされます。どのような転換を行うかは病院次第であり、それぞれにメリット・デメリットがあることも事実です。しかしながら、アンケート結果によると早期の転換を目指している病院が過半数であるため、後れを取らないよう着実に検討を進めていく必要があるでしょう。




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