本格的なアスリートからファミリー層まで多様なニーズに応えるスポーツと交流の新拠点
静岡県袋井市の「さわやかアリーナ(袋井市総合体育館)」は、競技スポーツの選手にも、健康増進を目的に利用する市民にも使いやすい総合体育館として、2019年12月のプレオープンを経て、2020年4月に供用が開始されました。袋井市で初となる「PFI事業」として進められた背景とその幅広い魅力を紹介します。
総合体育館整備に向けた課題
2014年、袋井市は既存の「袋井市民体育館」に代わる施設を整備するため、新体育館の構想を打ち立てました。既存の体育館は竣工から40年以上が経過しており、付帯設備の老朽化や災害時の避難所機能、多様化する市民のスポーツニーズへの対応など、さまざまな課題がありました。袋井市はこうした課題を解決するため、「だれもが、いつでも、どこでも、いつまでも、親しみ、楽しむことのできるスポーツ文化の推進」を基本方針に、新たなスポーツの拠点として整備事業を進めました。
スポーツを軸に人が集い交流できる施設
この事業は袋井市初のPFI事業(BTO方式)として、総合評価一般競争入札にて2016年6月に公告されました。当社は市の方針をもとに「してみよう、見てみよう、支えてみよう」をコンセプトとして、スポーツをする人にもしない人にも利用され、市民の安全・安心につながる施設を提案。2016年12月に当社を代表とする企業グループが事業者として選定され、市と共に事業を進めました。また、当社は体育館に併設する自由提案のにぎわい施設として地元企業が手掛けるカフェを誘致。体育館の利用者や公園を訪れる方々など、幅広い世代を対象とした憩いの場を提供しています。
袋井市の新たなシンボルとなったこの体育館は当社が代表企業を務める「袋井アリーナPFI株式会社」が今後15年間維持管理・運営を担当します。
スポーツ大会から市民の健康づくりまで
2階建ての館内には、バスケットボールコートなら2面以上の広さ(国民体育大会規格)の「メインアリーナ」と、日常のスポーツ活動に対応する「サブアリーナ」、剣道や柔道のほか多目的に使用できる「武道場兼多目的フロア」などがあり、競技スポーツの練習や大会、または市のスポーツ協会が主催する教室などに使用されています。
吹き抜け構造のメインアリーナには、2階に観客席(500席)と1周約170mのジョギングコースを整備。施設の外にも1周約800mのウォーキング&ジョギングコースを整備し、敷地全体として市民の健康につながる施設づくりを実施しました。
「使いやすさ」の工夫が新たな利用につながる
1階の「トレーニング室」には初心者からアスリートまで対応可能なトレーニングマシンを設置。個人のトレーニング履歴をクラウド管理する「ウェルネスシステム」が備えられています。隣接の「キッズルーム」には漁獲網を使用した大型遊具を設け、親子で運動を楽しむ空間を提供しています。
そのほか、障がいのある方に配慮した動線計画やユニバーサルデザインの採用、パラスポーツに親しめる備品の完備、外国人住民へ配慮した英語やポルトガル語の案内板の設置など、それぞれのライフスタイルに寄り添った工夫が使いやすさとなり、より一層の利用を促しています。
地域の防災拠点としての役割も
屋外には8種類の遊びが楽しめる木製の「大型円環遊具」が設置された「こども広場」があり、遊具で遊ぶ子どもたちや芝生でくつろぐファミリー、遊具の陰で読書をする方など、思い思いに広場を満喫する市民の姿が見られます。
市の課題であった防災機能では、指定緊急避難場所・指定避難所として約1500名の収容能力に加え、72時間分の非常用電源、防災備蓄庫、耐震性貯水槽などを備えています。こども広場にあるイスやベンチは、災害時にトイレ機能を確保する「マンホールトイレ」と炊飯設備に変わる「かまどベンチ」となり、施設内外で市民の安全・安心を支える体制を整備しています。
[DATA]
所在地 | 静岡県袋井市 |
---|---|
敷地面積 | 35,068.25㎡ |
延床面積 | 7,768.51㎡ |
構造規模 | RC造、一部S造、地上2階建 |
公式HP | https://fukuroi-arena.com/ |