放課後子ども総合プランとは~求められる待機児童解消~

2020.03.25

2018年に「新・放課後子ども総合プラン」が策定されました。これにより「小1の壁」の打開を目指すとされていますが、その内容は具体的にどのようなものなのでしょうか。今回は「新・放課後子ども総合プラン」の内容やプラン策定の社会背景、さらには放課後児童クラブと放課後子供教室、公営・民間の学童保育、待機児童の解消についてまで詳しくご紹介します。

「新・放課後子ども総合プラン」とは

「新・放課後子ども総合プラン」は、厚生労働省と文部科学省の連携により2018年9月14日に発表されました。本プランでは具体的に以下の目標が示されています。

  • 放課後児童クラブの整備:2021年度末までにおよそ25万人分、2023年度末までに合計およそ30万人分の受け皿の整備
  • 全ての小学校区での両事業の実施:「放課後児童クラブ」と「放課後子ども教室」について、一体的もしくは連携。小学校内での一体型については、10,000か所以上で実施
  • 両事業の新整備について:学校施設の徹底活用と新開設される放課後児童クラブについては、およそ8割は小学校内での実施を目指す
  •  放課後児童クラブの役割の徹底:子供のより一層の自主性/社会性などの向上を図る

なお「新・放課後子ども総合プラン」が策定された背景には「小1の壁」と呼ばれる社会問題があります。学童保育は保育園よりも運営時間が短く、夏休みの利用ではお弁当も必要。さらに小学校入学のタイミングで保護者の時短勤務が終了するなどの問題があり、子育てと仕事の両立が難しくなります。加えて2018年の民間調査では、そもそも学童保育(放課後児童クラブ)に入ることができない待機児童が少なくとも約17,000人にのぼると発表しています。「新・放課後子ども総合プラン」は、上記で示した向こう5年間の目標を策定し「小1の壁」の解消を目指すものです。

放課後児童クラブと放課後子供教室の違いについて

「新・放課後子ども総合プラン」にて一体的もしくは連携して実施されることが示された「放課後児童クラブ」と「放課後子ども教室」。両者は似ていますが国の所管をはじめ、それぞれに異なった特徴があります。以下、それぞれの特徴を対比しつつ、その違いについて見ていきましょう。

〈放課後児童クラブ〉

  • 国の所管: 厚生労働省
  • 対象: 共働き家庭の児童(小学校おおむね1~3年生)
  • 実施場所:小学校の余裕教室ほか、児童館、児童センター、公民館、借家など
  • 利用料:原則として有料
  • スタッフ:児童厚生員となり得る資格者1人以上(子供達の親代わり)
  • 提供内容:昼寝・宿題・おやつ・食事など生活の場の提供、生活指導や健康管理
  • その他:原則として年間250日以上開所(夏休み等の長期休暇や必要に応じて土曜日も開所)

〈放課後子ども教室〉

  • 国の所管: 文部科学省
  • 対象:全ての小学生
  • 実施場所:学校の余裕教室が原則
  • 利用料:無料
  • スタッフ:地域ボランティアなどの安全管理委員(子供たちの見守り)
  • 提供内容:遊び場所の提供、工作・お菓子作り・スポーツ体験・農業体験などの体験活動
  • その他:おおむね年間を通じて断続的・単発的に実施




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公営・民間の学童保育の違いについて

仮行政の管理下で運営される公営の学童保育と、企業が独自に運営している民間の学童保育。 以下、それぞれの特長を対比しつつ、その違いについて見ていきましょう。

〈公営学童保育〉

  • 対象:親が就労している小学生
  • 預かり時間:基本的に18時まで(19時までの延長保育があるケースも)
  • 月額料金:平均数千円程度
  • 土日祝日/長期休暇:基本的に日曜祝日はお休み/土曜や長期休暇は朝から預かるところも多い
  • 提供内容: 宿題やおやつの時間、自由時間が設けられています

〈民間学童保育〉

  • 対象:小学生(親の就労状況と関係なく受け入れるケースも多い)
  • 預かり時間: それぞれの運営元で異なる(24時間対応のところも)
  • 月額料金:平均数万円程度
  • 土日祝日/長期休暇: それぞれの運営元で異なる(日曜祝日対応のところも)
  • 提供内容:ダンス・英語・運動ほか、キャンプや宿泊行事など細やかな教育プログラムが用意されています。このほか誕生会やクッキング、夏祭り、工作、年末パーティー、ハロウィンなど、多彩なイベントが用意されているケースも少なくありません。

民間学童保育は学習塾やスポーツクラブ、さらに電鉄会社などその運営元は様々。そのため施設ごとに個性が強く、用意される教育プログラムもそれぞれに異なります。また、民間学童保育の大きな特徴として、夕食などの食事提供や送迎が用意されているケースもあります。

待機児童の解消にむけて

待機児童というと保育園、幼稚園に入れない子供たちについての問題が大きく取りあげられていますが、それと同じくして放課後学童保育の待機児童対策も急務です。学童保育は、公営・民間で多彩な選択肢が用意されていますが、運営内容ほか、安全に預けられる環境や通いやすさなども考慮し、複合的に判断する必要があります。国としては「新・放課後子ども総合プラン」により待機児童問題解決を画策していますが、いまだ施設が不足しているのが現状です。

まとめ

放課後児童クラブ、放課後子供教室、そして学童保育は、子どもたちが地域や社会に接する絶好の場でもあります。「新・放課後子ども総合プラン」のもと、社会全体で子どもたちを育てていく意識が非常に大切といえるでしょう。




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