福祉施設を設計する際のポイントや考慮すべき点を解説

2021.02.12

福祉施設の設計は建築全般に適用される法律の他、提供するサービスに応じてさまざまな設備基準が法律で定められています。では、設計時はどのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか。本記事では、福祉施設を設計する際の基本的なポイントと設計において考慮すべき点ついて解説します。

福祉施設の特徴

まずは、福祉施設の特徴を立地や建物規模の観点から見てみましょう。

福祉施設

建物の立地

一般住宅では、駅から近い・商業施設から近いなど、生活するうえで利便性の高い地域が好まれます。しかし、福祉施設の場合は、多くの場合車両での送迎があります。人通りや車通りが多い場所だと送迎の妨げになったり、事故に遭いやすくなったりする可能性が高まります。そのため、繁華街から少し離れた落ち着いた環境が福祉施設としては望ましいです。ただし、公共交通でのアクセスが難しい立地の場合、入居者の家族や利用者やスタッフが不便を感じてしまうため、スタッフの通勤時や来客の為の台数を停められる駐車場が必要となる場合があります。

建物の規模

福祉施設は全ての建物に適用される建築基準法などの法律に加え、用途に応じた各法令で設備基準が定められています。例えば、デイサービスやデイケアなどの施設であれば、食事および機能訓練を行うための場所については、合計面積が1人あたり3㎡以上と定められています。利用定員数の2倍の坪数が目安です。例えば、20人定員なら40坪が目安となる点は把握しておきましょう。そのため、建物の規模は各施設の基準によってある程度決まってきます。

建物の設備

公共施設でもある福祉施設は、設備に関しても法律で定められた基準を満たさなければなりません。基準は施設によって異なるため確認が必要です。

■設計時に考慮すべき点

福祉施設

設計前の注意点をみていきましょう

・設計前に利用者の特性を踏まえ整備方針を設定しておく

多くの福祉施設で、建物内のバリアフリー化は、高齢者や障害者を含むすべての方に公平に対応したものにすることが原則です。加えて、提供するサービスや利用者の特性に応じて適切な間取りや仕様を計画する必要があります。
例えば、高齢者を対象とした施設では車いすの利用が想定されます。車いすですれ違いが可能な広い廊下を計画し、扉も開き戸ではなく引き戸を採用します。
また、知的・精神障碍者を対象とした施設であれば、間取り自体を分かりやすくしたり、各部屋ごとに壁紙や床材の色を変え認識しやすいよう工夫するなどが考えられます。

・地域の利用者の特徴とニーズを把握する

地域の方が広く利用する福祉施設においては、設計段階で地域住民の皆様や利用者の意見を聴取し、設計に反映していくことはとても重要です。意見の聴取は、できるだけ早い段階で行いましょう。
また、高齢者や障害者の方から意見を得るときは、ゆっくり話す・筆談を行うなど、一人ひとりの特性に合った方法で行うことが重要です。

・非常事態が起きることを想定した対応の検討

火災や地震などの非常事態に対応した情報伝達・誘導の為の設備の設置、避難場所の確保について検討する必要があります。特に自ら避難することが困難な高齢者や障害者、児童の避難・誘導はハード面の整備は勿論、マニュアルを作成し、十分訓練を行う必要があります。

・施設運営や維持管理に関する計画を立てる

利用者のニーズの変動をあらかじめ想定したうえで、段階的に改善できるような施設運営の計画を検討することも大切です。
また、施設を利用者にとって快適な環境として適切に保ち続けるため、維持管理計画も意識しましょう。特に、視覚障害者用の誘導用ブロックや屋内外の床材、エレベーターなどは十分に留意する必要があります。

・予算の見通しを立てる

上記の通り、福祉施設の場合、バリアフリー対応や特殊な設備が多くあり、一般的な建物に比べ建設の費用がかさむ傾向があります。設計段階から、予算を意識し、必要度の高い設備や仕様を取り入れていく必要があります。

まとめ

本記事では、福祉施設を設計する際に意識すべきことを中心に解説しました。福祉施設は建物の立地や設備はもちろん、その他細部に至るまでしっかりとした前準備が必要です。特に、利用者のニーズに関してはしっかり地域の利用者の声に耳を傾ける努力をしましょう。




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