日本版CCRCについて

平成 28 年4月に施行された改正地域再生法。このなかには「生涯活躍のまちの制度化のための措置」が盛り込まれています。いわゆる日本版CCRC(生涯活躍のまち)は、中高年者に新たな生活のなかで健康寿命を延ばし、人生をより充実できる機会を提供する取り組みです。同時に地方創生の意味合いも強く、高齢化が進む現代において大きな注目が集まっています。

日本版CCRCとは

日本版CCRCとは、「生涯活躍のまち」とも呼ばれる構想で、東京圏をはじめとした地域に住む中高年者が、以下のような条件が揃った地域に住むための環境整備(まちづくり)を目指すものです。
  • 希望に応じて地方や「まちなか」へと移住できること
  • 多世代の地域住民との交流を深めること
  • 健康的かつアクティブな生活を送ること
  • 必要に応じて、医療・介護サービスが受けられること
上記に加え、「住まい」「ケア」「活躍」「移住」「コミュニティ」が基本構成要素として掲げられています。 以下では、具体的な基本コンセプトをご紹介します。

希望に合った住み替えの支援

これまで大都市に住んでいた中高齢者が地方への移住を希望した際には、地方公共団体が中心となったサポートが実施されます。移住相談窓口などが設置され、移住希望者の希望を踏まえたコーディネートを実施。たとえば空き家を改修したり、サ高住を整備したりといった取り組みが考えられます。これによって、入居・定住に結びつけることが大切と考えられています。 なお、移住は都市圏から地方にとどまりません。地域内の「まちなか」へ住み替えることも想定されています。そのため、東京圏をはじめとする大都市圏内でも、日本版CCRCによる移住が行われます。

健康・アクティブな生活の実現

健康でアクティブな生活を目指す目的で、中高年者に対して就労・起業支援や生涯学習、リカレント教育などへの参加を促します。なお、この際には課題解決型のプランを用いるのではなく、あくまでも「シニアライフのなかで何をしたいのか、どんな人生を送りたいのか?」という目的志向型の生涯活躍プランが策定されます。 また、中高年齢期に早めの住み替えを促進することで、より地域で活躍できることを期待します。

多世代に渡る地域住民との協働

中高年齢者だけが集まって生活するのは、日本版CCRCが目指す「多世代の地域住民と交流」に反します。そのため、多世代交流センターや地域サロン、大学等との連携によって入居者間の交流だけでなく、地域の若者をはじめとした多世代と交流できる環境が整えられます。 また、前述した「希望に合った住み替えの支援」や「健康・アクティブな生活の実現」に紐付くソフト面全般の運営推進機能の整備や、後述する「地域包括ケアシステム」との連携も重要です。

継続的ケアの確保

中高年齢者が医療介護を必要とするときに、人生の最終段階に至るまで尊厳のある生活を送るための「継続的ケア」が確保されます。その実現のためには、地域医療機関の連携はもちろん、日本版CCRCの事業者もしくは地域の介護事業者の介護サービスを確保することが求められます。また、重度の介護状態であっても、その地で暮らしながら介護サービスを受けられるような環境が必要です。

地域包括ケアシステムとの連携

入居者と地域住民へ、一体的なサービス(地域包括ケアシステム)が提供される環境の整備が行われます。たとえば生活支援や介護予防、健康管理・健康作りなどのケアシステムが挙げられます。

日本版CCRCが検討された背景

日本版CCRCが検討された背景には、中高年齢者の地方移住ニーズの高まりと、地方への人口流入の推進という狙いがあります。 以下で、それぞれを詳しく解説します。

中高年齢者の地方移住ニーズの高まり

内閣官房の調査結果で、地方移住を希望する東京在住の中高年齢者が数多くいることが分かりました。とくに男性の地方移住ニーズは多く、50代だと50.8%、60代だと36.7%に及びます。女性についても、50〜60代で約3割が地方への移住ニーズを持っていることが分かっています。 地方移住ニーズは増加傾向にあり「都市住民の農村漁村への定住願望の推移」という調査においては、2005年から2014年にかけて、50代以上のすべてがポイントアップとなりました。日本版CCRCは、こうした中高年者の希望に応じる形で策定されたと言えるでしょう。

地方への人口流入の推進(地方創生)

東京圏への人口流入は未だ歯止めがかからず、今なお人が集中している状況が続いています。そのなかで、日本版CCRCは地方への人口流入を推進し、地方創生を後押しできる取り組みとしても期待されています。 この際のポイントは3つ。ひとつは移住した中高年者が地方で仕事に就き、社会的活動や生涯学習へと参加することです。また、移住に伴って空き家や空き公共施設などが活用され、雇用維持につながることも期待されます。加えて、効果的・効率的な医療、介護サービスを確保するために、地方都市の中心部へと住み替えを行う「まちなか」居住および集住化の推進も重要です。

まとめ

日本版CCRCの実現は、中高年齢者が健やかに生き生きと暮らすことだけに限らず、移住先で活躍をしてもらうことで地域活性化を目指す動きでもあります。単なるまちづくりではなく、地方創生としての側面が強い点も把握しておきましょう。

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