本記事では、カーボンニュートラルとは何か、なぜ注目を集めるようになったのかについて解説していきます。企業において、カーボンニュートラルとはどのような位置づけなのか、実現した企業などについてもふれていきます。
■カーボンニュートラルとは
・カーボンニュートラルが注目を集める背景
・合わせて知りたいSDGs
■カーボンニュートラルを実現するための取り組み例
・省エネルギー、エネルギー効率向上
・CO2削減
・非電力の電力化
・ネガティブエミッション
■企業にとってカーボンニュートラルとは
・成長機会ととらえている
・実現しやすい業種、しにくい業種がある
・カーボンニュートラルを実現した企業
■まとめ
カーボンニュートラルとは
近年見聞きするようになったカーボンニュートラルとはどのような意味か、注目を集める背景とは何かについて解説していきます。カーボンニュートラルと合わせて知っておきたいSDGsについても見ていきましょう。
・カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、人間の活動によって生み出された温室効果ガスを人間の活動によって吸収・除去する取り組みです。温室効果ガスとは、CO2を中心とした地球を温める気体の総称です。
人間が生み出した温室効果ガスをプラスマイナスゼロにすることから、カーボンニュートラルと呼んでいます。2050年までの達成を目標としています。
・カーボンニュートラルが注目を集める背景
カーボンニュートラルが注目を集める背景には、深刻な地球温暖化が挙げられます。このまま地球温暖化が進んだ場合、異常気象が増加し洪水を引き起こしたり、食糧や水不足に陥ったりする可能性が高くなるといえるでしょう。また、生態系に及ぼす損失など、世界規模で危機的な状況になることも予想されます。
温暖化対策の1つとして、2015年には「世界的な平均気温上昇を産業革命以前より2℃低く保ち、1.5℃に抑える」との内容でパリ協定を締結していることも記憶に新しいといえます。
・合わせて知りたいSDGs
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2030年までに達成すべき持続可能な開発目標を指します。そして、気候変動はSDGsにおける17の世界的目標のなかの1つとして設定されています。SDGsもカーボンニュートラルも目指すべき目標は同じだといえるでしょう。
カーボンニュートラルを実現するための取り組み例
カーボンニュートラルを2050年までに達成するための取り組みを見ていきましょう。
・省エネルギー、エネルギー効率向上
カーボンニュートラルを実現するためには、省エネルギーやエネルギー効率を向上させて、消費エネルギーを減少させる必要があります。例として、エネルギーの使用量を抑えることで、CO2の吸収・除去する量を減少させることが可能です。
・CO2削減
エネルギーを作り出す際に排出されるCO2の削減も重要です。再生可能エネルギーや課題はあるものの、原子力発電の利用などによって排出量を減らせます。またカーボンリサイクルを併用した火力発電など、電源部分からCO2を削減していく取り組みが必要です。
自動車などの動力も水素やバイオマス燃料で動くようにエンジンの仕組みを変えることで、CO2を削減できます。
・非電力の電力化
電力と比較すると、非電力はCO2の削減が難しいとされています。しかし、電気自動車の採用など非電力部門(運輸)の電力化をすることでCO2を削減可能です。
・ネガティブエミッション
ネガティブエミッションとは、CO2の排出を削減するだけでなく、過去に排出され空気中に蓄積されたCO2も吸収・除去する技術です。
植林を進めて大気のCO2を吸収したり、大気中のCO2を回収して貯留したりといった技術をネガティブエミッション技術と総称しています。CO2の削減や省エネルギーが難しい分野において有効とされる手段です。
企業にとってカーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルやSDGsなどは、地球環境に配慮する動きが増えてきたことで、企業にとっても無視できない存在となりました。企業にとって、カーボンニュートラルとはどのような位置づけになっているか見ていきましょう。
・成長機会ととらえている
カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の成長機会の1つとしてとらえられています。長期的な企業の成長のためには業績のことだけを考えるのではなく、環境への配慮と合わせて行うことで新たなビジネスチャンスにつながるためです。
また、環境への配慮がある企業かどうかは、消費者や投資家から見られています。今後はカーボンニュートラルに取り組まない企業に対して融資しない・取り引きしないといった動きが加速することも想定されます。
・実現しやすい業種、しにくい業種がある
カーボンニュートラルは成長機会であるものの、すべての企業が実現できるわけではありません。IT企業・金融・サービス業は比較的カーボンニュートラルを実現しやすい業種です。エネルギー集約型ではないため、少しの変化で効果が表れやすいといえます。
しかし製造業・エネルギー産業・素材産業は難しいでしょう。これらのエネルギー集約型の企業は、ビジネスの構造を根本から見直さなくてはなりません。企業にとって大幅な方向転換が求められています。
・カーボンニュートラルを実現した企業
カーボンニュートラルを実現した企業の事例を見ていきましょう。ミネラルウォーターブランド・エビアンを製造するダノンは、フランスと北米の工場で2017年にカーボンニュートラルを実現しました。カーボンニュートラル実現のため、マングローブ森林の再生・植林や熱効率の良い台所用機器の提供などの手法を取り入れています。
まとめ
カーボンニュートラルは、2050年までに実現すべき目標です。地球温暖化では、気候変動・食料や水不足・生態系の損失などの問題が引き起こされてしまいます。カーボンニュートラルはそういった事態を阻止するための重要な取り組みとなるでしょう。
カーボンニュートラル実現のためには、省エネルギー・CO2削減・ネガティブエミッションなどの手法を取り入れ、複合的に取り組む必要があります。企業成長のためにも積極的に取り組んでいきましょう。