単身高齢者が増加する理由|現状と今後の社会の対策

2020.03.17

更新日:2021.12.10

あなたの周囲にはお年寄りで一人暮らしをしている人はいませんか?最近は社会構造の変化によって核家族化が進み、老後も子供たちに頼らず一人暮らしを続ける人が増えてきています。65歳以上の単身高齢者による健康上の問題や詐欺などの社会的問題が山積しているのが現状です。なぜ単身高齢者が増え続けているのでしょうか?

単身高齢者が増加する理由

家族制度を含めた「社会構造の変化」によって、一人暮らしの高齢者は今後ますます増えていくと予想されています。ひと昔前は当たり前だった3世代家族は減り、ライフスタイルの近代化や仕事の変化によって夫婦や親子だけで構成される家族がほとんどになりました。高齢者の価値観にも変化が起こり、「老後は子供たちに頼らず自立したい」という人が増えていることもあり、結果的に単身高齢者が右肩上がりで急増しているのです。

〈単身高齢者が増加する理由〉

  • 何らかの理由で家族を頼れない
  • すでに家族は他界している
  • 生活環境に満足している
  • 経済的に一人暮らしが可能(困っていない)
  • 慣れ親しんだ場所から離れたくない

高齢者がいる世帯の構成割合

グラフ:65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合と全世帯に占める65歳以上の者がいる割合

引用元:内閣府ホームページ
(URL:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_1.html)

複数ある家族構成の中で、平成28年度の「65歳以上の高齢者が居る世帯」は全世帯の48.4%と約半数を占めています。この結果を踏まえて、単身高齢者の増加傾向についてご説明していきます。3世代世帯は年々減少していて10年前と比べ約半分になっています。また、近年は「生涯未婚率」と呼ばれる「一度も結婚したことの無い人」の割合も増加傾向にあり、高齢者の夫婦と成人している未婚の子供という世帯も増えました。家族を持たない人がそのまま高齢者になったり、配偶者と死別後も一人暮らしを続けたり、などの理由によって単身高齢者が増えてきています。

1人暮らしの高齢者の動向

グラフ:65歳以上の一人暮らしの者の動向

引用元:内閣府ホームページ
(URL:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_3.html)

平均寿命が延び続け1980年には男性:73.35歳 女性:81.90歳だったのに対し、2040年には男性:82.82歳 女性:89.55歳と 男女ともに今よりも9年ほど長くなると予想されている長寿国日本において、65歳以上で一人暮らしをしている方の動向がどうなっていくのかを説明していきます。まず65歳以上の人が人口に占める割合が年々増加するとともに、一人暮らしの者の増加が男女ともに顕著に表れています。そして2025年には国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる、人類が経験したことの無いほどの超高齢化社会が目前に迫っているのです。老々介護や介護施設の受け入れ不足などの問題も深刻化し、ますます一人暮らしの人が増えていくかもしれません。

1人暮らし高齢者の生活満足度

平成26年に、内閣府が1,480人を対象に統計を取ったデータがあります。78.7%の人々は満足しているものの、21.3%の人々は満足できていないという結果でした。データから分析すると、会話が少なく、収入が低い人ほど満足度は低くなりやすい傾向です。1人暮らしであることに加え、会話が無いという状態が満足度を下げる要因と言っても過言ではないでしょう。また、とくに65歳から74歳の年齢層で満足できていないと答える人々が24.2%もいます。

 

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単身高齢者増加による影響

単身高齢者の暮らしは、個人だけではなく社会全体にまで大きな影響を与えます。例えばニュースでも取り上げられるオレオレ詐欺や孤独死の問題です。定年を迎えた65歳以上の方々は、第二の人生を歩もうと張り切っている人も多い世代です。しかし仕事をしなくなった途端に社会との関わりが薄くなり、やりがいや生きがいを感じる機会がグンと減ると、認知症の進行や詐欺などの犯罪を含めた今までに遭遇したことの無いトラブルに見舞われてしまいます。それらは結果的に社会問題となっています。

高齢者個人への影響

〈高齢者の一人暮らしによる問題〉
・認知症
・孤独死
・生活意欲の低下

一人暮らしになると認知症や体調不良は、家族や地域の人の協力が無ければ気づかれずに進行してしまいます。そのままにしておくと、ご近所トラブルや孤独死など単身高齢者によくある事態に陥ってしまう可能性が高くなるのです。離れて暮らす家族が毎日電話で安否を確認するのが理想ですが、頼れる人が居ない場合は見守りサービスなどの介護サービスを利用して社会とのつながりを維持しておきましょう。一番の解決策は家族で暮らすことですが、それが叶わない人はあらゆる介護サービスを一緒に検討して申し込むなど、万全の体制を整えておきまししょう。

社会への影響

〈高齢者増加による社会問題〉
・高齢者による犯罪の増加
・消費者契約のトラブル

近年は高齢者による犯罪も増加傾向にあり、捕まった人の中には単身者や親族や親族以外と接触の無い人が多いという調査結果もあります。罪を犯すと社会的な孤立がますます進んでしまい、再犯などの悪循環に陥りやすくなります。また、訪問販売やオレオレ詐欺など高齢者を狙った犯罪トラブルに巻き込まれるなど、被害者となる可能性も増加します。「自分なら大丈夫」という思い込みや、詐欺グループの巧みな手口によって、被害を受ける人が続出してしまうのです。

孤立による問題点

ここでは、孤立する単身高齢者が抱える問題について具体的にみていきましょう。生き甲斐や生活に対する満足度の低下など、身体的だけでなく精神的にもマイナスの要素が多い点は把握しておきましょう。

・生き甲斐がない

生き甲斐を感じる理由には、趣味への没頭や家族・友人など他人と交流しているときなどが挙げられます。しかし、単身高齢者の場合、そもそも誰かと交流する機会がなく、家族と話しても数カ月に1度では生き甲斐につながっていない人が多いのが現状です。

・フレイルの出現

単身高齢者は1人で過ごす時間が長い傾向にあります。そのため、家に閉じこもりがちになることから身体活動の低下、疲労感を感じ易くなるなどのフレイル(虚弱状態)になることも少なくありません。

さらにフレイルから進んだ場合には要介護、病状の進行などにつながりやすく注意が必要です。

・会話の減少による満足度の低下

会話が少ないほど生活の満足度は低下します。実際に1人暮らしであっても会話が頻繁にある方の生活満足度は総じて高いため、会話そのものが満足度の高い生活には必要だと言えるでしょう。

単身高齢者に対して家族ができること

単独高齢者に家族ができることは、一緒に暮らす、それが難しい場合は公的・民間サービスや施設の使用を検討することです。とくに家族と離れた場所で暮らす場合には、施設や介護サービスの利用なども選択肢の1つとなります加えて、サービスによっては看取りまで可能であるため、孤独死の確率を減少させ、穏やかな環境で最期を迎えられる可能性も上昇します。民間サービスに関しては、様々な形式があるため、サービスを受ける本人と話し合いながら選択することが大切です。

今後の社会に求められる対応

社会的に高齢者を孤立させないことが今後とても大切になります。仕事や地域活動、ボランティアなどを通して社会とのつながりを濃くし、周囲と信頼しあえる関係性を築いていかなくてはなりません。そして最近では65歳を過ぎても十分体力があり意欲的な人も多く、一括りに「社会に支えられている人」としてしまうのは、逆にその人の尊厳や誇りを傷つけてしまい、社会との関わりを断ってしまう恐れがあります。このように時代に合わせた変化が今後もっと必要になってきます。高齢者の雇用を増やす、介護施設やサービスの充実など、ライフスタイルに合わせた人生の選択ができる社会が今求められているのです。

まとめ

2025年には3人に1人が高齢者になる時代が確実にやってきます。この現状を打破するためには若い世代の協力と理解が欠かせません。負担の先送りなどの課題も残っているので、全世代の人々の暮らしや尊厳が守られる社会が必要なのです。地域や自治体だけでなく国を挙げて高齢者社会に向けた取り組みがすでに始まっています。まずは身近な人への声掛けや離れて暮らす家族への電話など、できることから始めていきましょう。

 

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