緑化率は細かく規定されている場所もあるため、法律を意識しなければなりません。しかし、人によっては「どうやって計算するのか?」「そもそも内容がわからない」などと悩んでしまうこともあるでしょう。
今回は、緑化率の計算方法や緑化率を高める方法について解説していきます。
■緑化率とは?
・緑化率の定義とは
・緑化の効果
・緑化・空地率との違い
■緑化率(緑化面積)を高める手法
・屋上緑化
・壁面緑化
・駐車場緑化
■緑化率の計算方法
■緑化率の法律を守らないとどうなる?
・緑化率の違反とは
・違反の是正措置
■まとめ
■緑化率とは?
ここでは、緑化率の定義や効果についてみていきましょう。
・緑化率の定義とは
緑化率とは、建物の敷地面積に対する緑化施設の割合のことです。ここでいう緑化施設とは建築物が建っていないスペースや屋上等の屋外にある、植栽や花壇、樹木などの施設を指します。
緑化率は、各自治体によってルール化され義務付けられています。建造物を建築する際は、定められた緑化率を守る必要があります。なお、緑化率の割合や対象となる土地面積については自治体ごとに異なる点に注意しましょう。
・緑化の効果
緑化を行う意味は、景観や環境への配慮をするためです。例えば、空気中の二酸化炭素が植物に吸収されることで、地球温暖化対策として役立ちます。また、コンクリートとは違い植物は熱を溜め込まないため、ヒートアイランド現象対策としても効果が見込まれます。
また、人々の暮らしにも緑化は重要です。緑化によって景観が良くなる・ストレス軽減や安らぎを得られるなどの効果も期待できるでしょう。
・緑化・空地率との違い
緑化率と似た言葉に、緑化・空地率という言葉があります。緑化・空地率とは、建物の敷地面積に対する緑地面積に加えて、公開空地面積と屋上と壁面緑化面積の合計面積の割合を意味しています。混同しないように注意が必要です。
■緑化率(緑化面積)を高める手法
緑化率を高めるには、屋上・壁面・駐車場といった場所を緑化して、緑地面積を増やしていく必要があります。ここでは、緑化率を高める手法についてみていきましょう。
・屋上緑化
建物の屋上を緑化する方法です。屋上を緑化した場合、土地に余裕がなかったとしても緑化率を高められます。
屋上緑化をする際のポイントとして、積載荷重を知っておく必要があります。土や植物の重みで、建物の積載荷重をオーバーしてしまう可能性があるためです。また、排水設備を整えて定期的なメンテナンスをしなければ、植物が育たなくなってしまいます。
屋上緑化はコミュニティ形成の場としても活用できます。ベンチなどを設置し、地域住民が安らげる空間にすることも可能です。
・壁面緑化
建物の外壁を緑化する手法です。壁面緑化を行う際のポイントとして、メンテナンス方法をよく検討する必要があります。
地上や屋上とは違い、メンテナンスの際に植物を直接見てチェックできないためです。
また、壁面緑化の施工方法や使用する植物によっては、緑化が完成するまでに時間を要するケースもあることや、日射状況によって、樹種の選定が異なります。
そのため、施工前の確認と施工後のメンテナンスは業者に依頼するとしても、維持管理や点検など必要な内容を把握しておかなければなりません。
・駐車場緑化
アスファルトで舗装された駐車場を緑化することで緑化率を高められます。例えば、施工してすぐに駐車場として活用できるブロックタイプや芝タイプを活用する方法が検討できます。
また、立体駐車場の壁面を緑化する方法も検討できるでしょう。立体駐車場の場合は、壁面や手すりなどを緑化します。
■緑化率の計算方法
緑化率の計算方法は次のようになります。
緑化率(%)= 緑化面積(㎡)÷ 敷地面積(㎡)×100
10%以上の緑地面積が必要である場合を例に計算してみましょう。
敷地面積が500㎡の場合、敷地面積500㎡×緑化率10%=緑化面積50㎡となります。この場合は、緑化面積が50㎡以上であれば、緑化率をクリアしたうえで法律的にも問題ないといえます。
■緑化率の法律を守らないとどうなる?
緑化率は法律によって定められており、各自治体の条例によって決められた割合を守る必要があります。ここでは、違反とはどのような状態なのか、罰則の内容についてみていきましよう。
・緑化率の違反とは
定められた緑化をしていない場合、緑化率違反となります。また、緑化率を達成していても、緑を健やかに保っていない状態では違反に該当します。緑化は完成時だけでなく、植物を維持・保全していかなくてはならない点に注意が必要です。
緑化を継続するためには、無理のない緑化計画となっているか施工前に検討・確認しましょう。例えば、植物を育てるとしても、水やりや清掃といったメンテナンスが必要です。排水設備などの機器点検も継続的に行わなければなりません。
・違反の是正措置
緑化率の違反は、自治体の職員がパトロールによって確認します。仮に、違反となった場合は、立ち入り検査・是正命令、懲役や罰金などを科されることになるため、把握しておきましょう。
■まとめ
緑化率とは、敷地に対しての緑化面積を示す言葉です。緑化率の割合や対象となる土地面積は自治体によって決まっているため、事前に確認しましょう。法律違反となった場合、社会的な信用が失われてしまいます。
また、緑化は維持・保全を行い、植物を良好に保つ必要もあります。無理なく植物を生育できるように、メンテナンスも計画を立てていくことが大切です。