「地域産材」使用のサステナブルな建築 

2023.01.31

サステナブルな社会への取り組みが重要視される昨今、建築業界では、地域産材を使用した建築が注目されています。
地域産材の利用により、地域にどのような経済的貢献ができるのか。
そもそも、なぜ地材の使用がサステナブルだとされているのか。
本記事にて解説していきます。

「地域産材」使用による地域社会への経済的な貢献

衰退する地域林業の経済を後押し

現在日本では、林業者の高齢化、および跡継ぎの減少といった問題が発生しています。
これにより、林業を主な産業としていた山村地域では地域全体の活気が落ち込み、限界集落化してしまうケースも見受けられます。
地域産材の使用は、こういった問題の解決の糸口となり得ます。

 

地域原産の木材を、地域の森林で、地域の業者が伐採し、地域の職人が加工する。

 

このように地域の経済が回ることで、林業者や職人など、地域林業の経済への後押しが行えます。ひいては地域全体の活性化にも繋がり、限界集落化する地域の存続への貢献にもなり得るのです。

「地域産材」使用が、なぜサステナブル?

地域産材の使用により守られるのは、林業者の未来や地域社会の存続だけではありません。
日本の森林そのものの存続にも深く関わっています。

「使われていない」が故の危機的状況

今、日本の森林は危機的状況に陥っています。
……こう耳にすると、大半の方は「森林を伐採しすぎているからだろうか?」と想像するかもしれません。
確かに世界では、違法伐採や過剰伐採により破壊されてしまった森林が多々見受けられます。しかし日本における森林問題は、森林が伐採「されていない」からこそ起こっているのです。

国土の約3分の2を森林で占める日本は、世界でも有数の森林国家です。しかし、豊富な森林資源の年間成長量約7千万㎥のうち、現在の年間伐採量は約3千万㎥。つまり、約4割程度の資源しか活用されていないことになります。残りの6割は、手入れが不十分なまま放置されている状況です。(出典:「地域材の活用を通じたSDGsの推進について」(経済産業省))

安価な外国産材がもたらす悪循環

昭和30年代に段階的に実施された木材輸入自由化により、安価な外国産材の輸入量は急激に増加しました。これにより、昭和30年には約96%あった木材自給率は、40年後の平成7年には約20%まで低下。様々な努力により、現在(令和3年)では約40%まで回復したものの、未だ供給木材の約60%は諸外国の輸入に頼っている現状です。(出典:「木材需要(供給)量塁年統計」(林野庁))

地域の林業者が懸命に育てた地域産材が売れず、林業を営む人間が減り、荒廃したアンサステナブルな森林だけが残ってしまう。このような悪循環を打破し、サステナブルな森林の保全を行うためにはどうしたらよいのか。一番の解決策は、やはり根本にある「地域産材が売れない」という部分へのアプローチ。
すなわち「地域産材の消費」であると考えられます。

「植える、育てる、収穫する」というサイクルがうまく循環し森林維持にも貢献

丸太の写真
 

荒廃した森林では、台風や大雨被害による土砂災害や、倒木による停電など、さまざまな問題が発生します。
森林、特に、すでに人の手が加えられた人工林は、人の手を加えなければ健全な状態を保てません。
そのため、「植える、育てる、収穫する」のサイクルを回すことで、健全な森林の維持が行えるのです。

まとめ

最後に、地域産材とサステナブルな建築についてまとめてみましょう。
 

日本では森林が伐採されないがために、アンサステナブルな森林が多く存在している

アンサステナブルな森林では、土砂災害などのさまざまな問題が発生してしまう

地域産材を建築に使用することで、地域に経済的貢献がなされる

地域林業者への後押しとなり、木を「植える、育てる、収穫する」のサイクルがうまく循環する

日本の放置された森林が、サステナブルな森林へと生まれ変わる

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