本記事では、壁面緑化をする際に使用する植物の種類や選び方について解説していきます。壁面緑化を施工する際の参考にしてみてください。
■壁面緑化の基礎知識
・壁面緑化で環境に配慮
・植物がある生活によるメリット
■壁面緑化で使用するタイプと使用する植物
・登はんタイプ
・下垂タイプ
・ユニットタイプ
・ワイヤータイプ
・プランタータイプ
■壁面緑化に使用する植物の疑問
・冬に枯れてしまうのでは?
・施工するタイミングは?
・室内の壁面を緑化できる植物は?
・植物が育つまで景観が悪くなるのでは?
・植物を正しく生育するためのポイントは?
■まとめ
■壁面緑化の基礎知識
壁面緑化は二酸化炭素の削減など環境に配慮しているだけでなく、景観や雰囲気など人々の生活に対しても影響があります。
壁面緑化の基礎知識を通して、メリットを見ていきましょう。
・壁面緑化で環境に配慮
壁面緑化を施すことで空気の清浄化やヒートアイランド現象の緩和につながります。また、温度も上昇しにくくなるため、冷暖房のある場所では省エネでの温度調整が可能です。
・植物がある生活によるメリット
緑化によって植物を身近に感じてもらうことができます。植物が身近に存在することで、建物の景観が良くなるだけでなく、見た人の心を安らげる効果が期待できます。そのため、疲労回復などストレスの軽減につなげることも可能です。
関連コラム:「壁面緑化とは?種類やメリット、実際に行う際の注意点について解説」
■壁面緑化で使用するタイプと使用する植物
壁面緑化のタイプによって使用する植物が異なります。
ここでは、5つの壁面緑化タイプに合わせて使用する植物を詳しく見ていきましょう。
・登はんタイプ
支柱などを使用せず、建物に這わせた上で緑化する登はんタイプは、根に吸着力のある植物が適しています。吸着力のある植物としては、ヘデラ・へリックス、ナツヅタ、ツルアジサイなどです。
登はんタイプの注意点は、壁に跡が付いてしまう可能性があることです。そのため、植物の伸長をコントロールする伸長防止板などを使用しましょう。
・下垂タイプ
登はんタイプとは逆に、根を上から下に這わせる手法を下垂タイプと呼びます。登はんタイプでも使用するヘデラ・へリックスは、下垂タイプにも使用可能です。他にはヘデラ・カナリエンシスやトケイソウが適しています。
・ユニットタイプ
ユニットタイプは施工が簡単でスピーディな壁面緑化が実現できます。
一つのユニットに事前に植物を植え込み、ユニットごと壁面に固定するため、施工直後でもボリュームのある緑化が可能です。
ヘデラ類などのつる性植物がよく使用されます。
・ワイヤータイプ
ワイヤータイプは、低コストでメンテナンスが比較的簡単な緑化です。ワイヤーにツタを絡ませるため、壁を汚しにくいメリットがあります。
使用する植物は、ツタを絡ませて成長させていくことのできるテイカカズラ・スイカズラ・クレマチス・カロライナジャスミン・ハゴロモジャスミンなどが適しています。
・プランタータイプ
プランタータイプは、下地に専用プランターを設置するタイプです。デザイン性が高く使える植物に制限が少ない点が特徴といえます。
多様な植物を利用できるだけでなく、植物の交換も比較的簡単です。加えて、プランターに土や植物を植えた状態で設置できるため、短い期間で壁面緑化が完成します。
■壁面緑化に使用する植物の疑問
ここでは、壁面緑化に使用する植物への疑問を解説していきます。
・冬に枯れてしまうのでは?
壁面緑化に使用する植物の種類として、落葉植物は冬に枯れてしまうため、景観を損なう可能性があります。そのため、冬に植物が枯れるリスクを回避したい場合は、通年緑の葉である常緑植物を選択すれば問題ありません。
しかし、冬に植物を枯らせることで、あえて自然な季節感を演出する手法もあります。建物がある場所のイメージに合わせて植物を選びましょう。
・施工するタイミングは?
常緑植物であっても、冬に施工すると植物が育ちにくく枯れてしまう懸念があります。そのため、施工のタイミングは春か秋が良いでしょう。
・室内の壁面を緑化できる植物は?
室内の壁面緑化は、ポトスやドラセナなどの植物をプランターに植えた上でインテリアとして設置すれば完成です。日当たりや植物の成長度合いなどを検討しつつ、設置しましょう。
・植物が育つまで景観が悪くなるのでは?
選択した植物の種類によっては、すぐに育たないために景観が悪くなるリスクがあります。とくに、つる性植物の場合は成長するまである程度の時間がかかる点は把握しておきましょう。
仮にすぐに景観に対して植物の影響力を高めたい場合は、プランタータイプやユニットタイプがおすすめです。
・植物を正しく生育するためのポイントは?
壁面緑化の植物を正しく生育させるためには、日頃のメンテナンスも重要です。壁面緑化はメンテナンスが難しいため、業者にメンテナンスを依頼するなどの工夫も必要といえます。
また、住む地域に合わせた植物選びも意識しましょう。常緑植物であっても寒い地域では真冬になると枯れてしまう可能性があります。例えば、カロライナジャスミンなどは北海道や東北といった寒い地方では冬に枯れてしまうものの、ヘデラ類であれば問題ないでしょう。
■まとめ
壁面緑化に使用する植物は、つるが伸びるものや葉を茂らせるものなど種類は多いといえます。中には、色とりどりの花を咲かせる植物もあるため、建物の完成イメージや景観に合う植物を選びましょう。
また、壁面緑化は多くの施工タイプがあるだけでなく、適した植物が異なるため、完成までの期間も検討する必要があります。多角的な視点から見て、緑化の施工タイプと植物を選んでいくことが大切です。