介護報酬改定の概要
1.地域包括ケアシステムの推進
中重度の要介護者について、日本全国どこに居住していても必要な介護・医療サービスが受けられる体制作りを推進します。
具体的には、医療・介護の役割連携の推進、認知症患者への対応強化、在宅要介護者や居住系サービスの充実などが含まれます。
2.自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
リハビリテーションに関する加算要件や評価の見直し、外部リハビリ専門職との連携、褥瘡防止や排泄介護に関わる評価の新設、身体拘束運用の適正化などを通し、自立支援と重度化防止を推進します。
3.多様な人材の確保と生産性向上
人材を有効活用ならびに機能分化し、介護ロボット技術の活用も含めて現場の負担を軽減しながら、生産性の高い介護を目指します。定期巡回型サービスオペレーターの専任要件の緩和や、ICT活用、会議の開催頻度の見直しなどが含まれます。
4.介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
福祉用具貸与価格の上限設定や、訪問介護報酬体系の見直し、長時間の通所リハビリの基本報酬見直しなどを通し、介護サービスの制度の安定性・持続可能性を確実化します。
訪問系サービス、通所系サービスの方向性
・訪問介護・訪問看護
(1)事業所と同一敷地内または隣接する敷地内に所在する建物に訪問する場合、有料老人ホーム等の建物種別に関係なく、
利用者が月49人以下の場合10%減算、月50人以上の場合15%減算となります。
(2)これら以外の建物に外部から訪問する場合、利用者が月20人以上の場合、10%減算となります。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
(1)事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物にサービス提供する場合、建物種別に関係なく、
600単位/月の減算となります。
(2)また、利用者が月50人以上となると、900単位/月の減算となります。同一建物だけでなく、地域の利用者に対しても
サービス提供を行わなければならないことが明確化されるようです。
・通所介護
(1)基本報酬のサービス提供時間区分を2時間から1時間ごとに見直されます。
(2)通常規模(前年度1月あたり平均利用延人員数300人超)事業所と、利用定員18人以下の地域密着型事業所では
ほぼ同一もしくは、地域密着型で報酬アップがあったものの、大規模型(前年度1月あたり平均利用延人員数750人
超)では報酬減となりました。
地域密着型サービス、施設系サービスの方向性
・看護小規模多機能型居宅介護
(1)サービス供給量を増やす観点から、診療所からの参入を進めるよう基準が緩和されます。
(2)サテライト型事業所の創設が推進されます。
・特定施設
(1)基本報酬はすべての支援、介護度において報酬微増となります。
(2)入居者の医療ニーズへの対応のため、医療提供施設との連携加算が創設され、医療提供施設を退院・退所して特定施設に
入居する利用者を受け入れた場合が評価されます。
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
(1)入居者の医療ニーズへの対応のため、手厚い看護体制の事業所に加算が設けられました。
(2)自立支援・重度化防止のため、新たに生活機能向上連携加算が創設されました。
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
(1)従来型個室、ユニット型個室とも、基本報酬は微増となりました。
(2)入居者の医療ニーズへの対応のため、配置されている医師が、早朝や夜間に入所者の診療を行うことや、
夜間に看護職員又は喀痰吸引ができる介護職員を配置していることに評価が追加されました。
(3)夜勤職員の業務効率化を図る観点から、見守り器などの介護ロボット活用の推進が評価の対象となります。
・介護老人保健施設(老健)
老健の役割である在宅復帰を更に推進する観点から報酬体系の見直しが行われ、在宅復帰率の条件を満たさない老健は報酬減となりました。