本記事では、自走式立体駐車場の耐用年数やメンテナンスについてふれていきます。そして、LCC削減の方法を知ることで、コストを抑え長く自走式立体駐車場を使用していきましょう。
■自走式立体駐車場の耐用年数は?
・税法上の耐用年数
■自走式立体駐車場のメンテナンスは不要?
・自走式立体駐車場の経年劣化
・設備は定められたメンテナンスが必要
・劣化を防ぐためにもメンテナンスは必要
■自走式立体駐車場を維持するにはLCC削減がポイント
・LCCとは
・自走式立体駐車場のLCC削減は予防保全が大事
■自走式立体駐車場のメンテナンス内容
・基本的なメンテナンス内容
■まとめ
■自走式立体駐車場の耐用年数は?
ここでは、自走式立体駐車場の構造別の耐用年数についてみていきましょう。
●税法上の耐用年数
自走式立体駐車場には、税務上で決められた耐用年数があります。税務上の耐用年数とは、減価償却期間において本来の用法・用途とした場合に効果を上げられる効用持続年数のことです。
耐用年数は、自走式立体駐車場の構造によって以下のように異なります。
◆自走式立体駐車場(鉄骨造)
鉄骨造の自走式立体駐車場は、31年が耐用年数となっています。
◆自走式立体駐車場(RC造)
RC造の自走式立体駐車場の耐用年数は38年です。
それぞれの耐用年数を経過した場合は減価償却に計上できません。しかし、自走式立体駐車場として使用し続けることは可能です。
■自走式立体駐車場のメンテナンスは不要?
自走式立体駐車場は基本的にメンテナンスフリーと思われているものの、実際は設備点検などのメンテナンスが必要です。ここでは、自走式立体駐車場でメンテナンスが必要となるシーンについてみていきましょう。
●自走式立体駐車場の経年劣化
経年劣化とは、時間の経過によって品質が低下することを意味する言葉です。自走式立体駐車場でよくある経年劣化の状態とメンテナンス方法についてみていきましょう。
◆スロープ部床板補修等
自走式立体駐車場内を車で移動する際は、スロープを使います。多くの車が行き交うため、スロープ部分は経年劣化しやすい場所です。スロープ部分をメンテナンス・リニューアルする際は、床板の補修を行う方法が一般的です。
◆R階床板補修等
R階(屋上)は太陽光や雨風で経年劣化しやすい場所です。床のラインはがれや、車止めの破損等の場合は、スロープと同じく床板を補修していきます。
●設備は定められたメンテナンスが必要
上記以外の部分では、故障や経年劣化などがなくても定められたメンテナンス方法が必要な部分があります。保守や法律上で定められている点検について、以下でみていきましょう。
◆エレベーター
自走式立体駐車場にエレベーターが設置されている場合は、保守点検を行う必要があります。
保守点検とは不具合が起きる前の予防点検で、故障や事故を起こさないためにも実施しなければなりません。
◆消火設備
自走式立体駐車場に設置している消火設備は、消防法で定められていることから、6か月に1回の点検を
行わなくてはなりません。仮に異常があった場合、取り換える必要があります。
●劣化を防ぐためにもメンテナンスは必要
自立式立体駐車場は、基本的にメンテナンスの頻度は多くありません。しかし、劣化を防ぐためにもメンテナンスは必要です。また、エレベーターや消火装置は定期的な点検が必須であることを把握しておきましょう。
■自走式立体駐車場を維持するにはLCC削減がポイント
自走式立体駐車場を維持するには、LCCの削減がポイントとなります。ここでは、LCCとは何か、詳しくみていきましょう。
●LCCとは
LCCとは、ライフサイクルコストの頭文字をとった言葉です。製品や建物に対する制作・運用・保全修繕・解体までの
費用を表しています。立体駐車場もLCCで表すことが可能です。
◆立体駐車場のLCCの割合
立体駐車場におけるLCCの割合をみていきましょう。
●企画設計……2%
●建設費……35%
●保全……13%
●修繕……7%
●運用……17%
●運用その他……24%
●解体再利用……2%
LCCの割合において、保全・修繕費用は全体の20%を締めています。メンテナンスフリーと思われがちな自走式立体駐車場であっても、保全・修繕が占める割合は決して小さいものではありません。
●自走式立体駐車場のLCC削減は予防保全が大事
自走式立体駐車場のLCC削減のためには、予防保全を行うことが効果的です。予防保全とは、建物や設備に致命的な故障や劣化を起こす前の予防措置です。
故障や劣化が起きてから修繕する事後保全と違い、予防保全はコストが高くなりにくい上に自走式立体駐車場の性能や機能を維持したまま修繕可能です。また、故障や劣化によって低下した自走式立体駐車場の性能を向上させられるため、光熱費などの運用費を抑えられるメリットもあります。
■自走式立体駐車場のメンテナンス内容
自走式立体駐車場の具体的なメンテナンス内容をみていきましょう。メンテナンス次第では、長く利用することが可能です。
●基本的なメンテナンス内容
基本的なメンテナンス内容について解説していきます。なお点検のサイクルは、時間貸しの場合は1~5年、月極駐車場の場合は5~8年が目安です。
◆柱・梁等の鉄骨錆
鉄骨の錆は構造体を劣化させる原因となります。目視で錆が発生していないか確認しましょう。
◆駐車ライン剥れや車止めのぐらつき
車が駐車する箇所のラインや車止めは経年にて剥がれたり取れたりします。ラインが薄くなっていないか、車止めが緩くなっていないか確認しましょう。
◆扉やシャッターのずれ、異常音
常時使用する扉やシャッター等は繰り返しの開閉で一部ずれたり異常音が発生したりします。不具合がある場合は建具メーカーに問い合わせましょう。
■まとめ
自走式立体駐車場はメンテナンスフリーと思われていますが、時間の経過や自然環境による劣化は発生するものです。
また、エレベーターなどの機器や消火装置などは定期的な点検を行う必要があります。
建物の機能を低下させないだけでなく、長く使用するためにもメンテナンスを実施していくことが大切です。メンテナンスを行うことで、故障や事故を防ぎ、見た目を美しくリニューアルできます。自走式立体駐車場のメンテナンスを定期的に行い、安全に長く使用をしていきましょう。