■立体駐車場とは
・自走式立体駐車場
・機械式駐車場
■自走式立体駐車場にも種類がある?
・フラット式
・スキップ式
・連続傾床式
■自走式立体駐車場の6つの特徴
■自走式立体駐車場設計の注意点
■立体駐車場の設計はここをおさえておく
■立体駐車場とは
平地がそのまま駐車場になった「平面駐車場」に対して、立体的で多層化された駐車場は「立体駐車場」と呼ばれます。なお立体式駐車場は「自走式立体駐車場」「機械式駐車場」に大別することができます。
〈自走式立体駐車場〉
文字通り、運転者が目的階まで車を運転して駐車するタイプの立体駐車場です。ある程度の駐車台数を確保するには、それに見合う大きな土地が必要となりますが、マンションや集客用の駐車場あるいは公共施設の駐車場にも適しています。多くの駐車台数を確保することで利用料金を抑えることが期待できますが、諸条件によって高くなるケースもあります。また、後に詳述しますが自走式立体駐車場には「フラット式」「スキップ式」「連続傾床式」の3種類が存在します。
〈機械式駐車場〉
装置によって車を入庫・運搬し収容するタイプの立体駐車場です。狭い土地を最大限に活用することが可能で、抜群の収容効率を誇ります。なお、機械式駐車場には「タワー式」「多段式」の2種類があります。
■自走式立体駐車場にも種類がある?
〈フラット式〉
駐車場の各階がスロープで連結された立体駐車場です。自走式立体駐車場の中ではシンプルなタイプといえるでしょう。上に向かう車と駐車する車の導線が分けられるため、安全確保の面でも優れています。見通しの良い駐車場が実現でき、スムーズな駐車が可能。平坦な床であることから、高齢者やお子さん、あるいは車椅子の利用者などにとっても親切な設計といえるでしょう。
〈スキップ式〉
駐車階を半階分ずつずらした立体駐車場です。一つ一つのスロープが短くできるため、走行しやすいことも大きな特徴です。見通しが良く一定方向に巡回できるので空きスペースが見つけやすいタイプの駐車場です。
〈連続傾床式〉
昇降スロープを兼ねた緩い勾配の駐車スペースで構築された立体駐車場です。駐車場の構造としては緩やかならせん状となっています。急カーブや急勾配が存在せず、またスロープが不要なため高い面積効率が実現可能です。
自走式立体駐車場の6つの特徴
いくつかの種類が存在する自走式立体駐車場ですが、共通する特徴として以下の6点を挙げることができます。
特に平面駐車場とくらべるとメリットが多くあります。
- 機械式駐車場に比べて車の出し入れが容易
- 入出庫の操作による待ち時間がない
- 荷物の出し入れが簡単で便利
- 車の重量制限などが緩い(ただし車高制限があるケースもあり)
- 雨風や直射日光にさらされないため、車へのダメージを避けることができる
- 平面駐車場に比べて、防犯面で優れているケースがある
自走式立体駐車場設計の注意点
自走式立体駐車場を設計する上で、まず注意しなければならない「駐車場法」というものがあります。設計したい自走式立体駐車場が駐車場法に該当する場合、希望する駐車台数の確保が不可能となったり、建設コストが上がってしまったりすることがあります。ここでは立体駐車場を「一般公共の用に供する駐車場」の中の「自動車の駐車に供する部分が500平方メートル以上の路外駐車場」について、法規関連の注意点を確認しましょう。
- 建築基準法や政令で定める技術的基準による必要があります。(第四章第十一条)
さらにこの条件で「都市計画区域内で料金を徴収する場合」には、あらかじめ届出が必要です。(第四章第十二条) - 技術的基準には、主に以下のようなものがあります。
・出入口:道路交通法で定める駐停車禁止場所、小学校等の出入口から20m以内の設置は不可など
・車路:一方通行以外の車路の幅員は5.5m以上など
・高さ:駐車スペースの高さは、はり下2.1m以上
立体駐車場の設計はここをおさえておく
国土交通大臣による「耐火建築物」の認定を受けた駐車場を「認定駐車場」(国土交通大臣認定駐車場)と言います。最大規模が7階建て以下、構造は鉄骨造のみほか、形状や仕様にも制限がある一方で、防火設備の緩和や建築確認申請のスピーディー化が見込め、工期の短縮やコスト減も期待することができます。なお、認定駐車場ではなく従来の工法を用いた駐車場は「一般建築」「在来駐車場」と呼ばれます。
普段何気なく使用している自走式立体駐車場ですが色々な種類があるのがお分かりいただけたでしょうか。 駐車場の特徴を知っておくことで、高齢者や車椅子を利用している方が施設に訪れる際には駐車場にも配慮できるようになるかもしれません。 また、駐車場の建設を考えている方は施設の利用者の利便性や安全性を重視した建設計画を立てられるのではないでしょうか。